ニャッシャソゲームイズム

このブログでは僕が主にゲームやアニメを通じて得た感想などを記していきます。

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ゼノブレイド3の解釈まとめ 2.聖書的解釈

はじめに

(上記は冒頭記事「はじめに」へのリンクです。先にこちらを読んでいただくと後の内容が理解しやすくなるかと思います。)

 

ゼノブレイドシリーズおよびその前身にあたるゼノギアスゼノサーガが聖書とグノーシス主義と呼ばれる思想の内容を大いに引用しているというのは結構有名かと思います。

ゼノブレイド3にもそれらを引用したと思われる内容があります。ここではその辺りに関連する内容を取り上げます。

 

 

■聖書の概要

まず、本題に入る前に僕が知る限りの聖書の概要についてざっくり説明。
単なる歴史の授業になりますが必要な事前知識なのでご容赦ください。。。

 

聖書はユダヤ教キリスト教聖典とされる書物です。今ではキリスト教の方が大きなものになっていますが、歴史的にはユダヤ教が先にあって、後にユダヤ教から分派してできたのがキリスト教です。


聖書には「旧約聖書」と「新約聖書」の二つがあります。ユダヤ教聖典が「旧約聖書」でキリスト教聖典が「新約聖書」です。

 

旧約聖書」は世界の誕生とユダヤ人の神話、歴史について編纂した書物です。神話集兼歴史書、といったところでしょうか。「アダムとエヴァ」の話や「ノアの箱舟」の話はこちらに記されたものです。

 

新約聖書」はイエス・キリストの教えとその生涯、弟子たちの布教活動などが記されています。こちらはイエス・キリストの教えを伝える書物という側面が強い感じですかね。

 

ゼノブレイド3はどちらからも引用していますがざっくり言うと3本編の物語は主に新約聖書から、それ以前のDLCの物語やアイオニオンの歴史的な部分は主に旧約聖書から引用していると思われます。

 

また、グノーシス主義についても少し触れておきます。といっても僕も詳しく知らないのでキリスト教の一派で

この世界はクソ。それはこの世界を支配する神様が偽物だからであり、本物の神様が他にいる。

という思想だということを共有するだけにとどめておきます。(グノーシス主義は調べても素人レベルで理解できる資料が全然見当たらないです。。。)


この辺りはゼノシリーズに一貫して存在する考え方ですね。キリスト教としては結構ヤバい思想だったようですが。

 

 

■聖書の内容

上の前提を踏まえて、聖書の内容について特にゼノブレイド3と関係が深いと思われる部分を時系列順に抜粋します。ポイントとなる内容は赤字で強調しておきます。

 

天地創造
神が世界のすべてを創造した出来事。世界はここから始まった。

 

○アダムとエヴァの誕生
神は楽園の管理者としてアダムとエヴァを創造した。アダムとエヴァ二人とも裸だったが恥ずかしがりはしなかった。また、楽園には知恵の木が植えられた。神はアダムとエヴァに「知恵の木の実を食べると必ず死んでしまうので食べないこと。」と命じた。まだ楽園に「死」はなかった。

 

○楽園追放
あるとき、アダムとエヴァは蛇にそそのかされ知恵の木の実を食べた。二人はふと裸でいることを恥ずかしく感じ、近くにあった木の葉で腰を覆った。それを知り怒った神は二人を楽園から追放し永遠に生きられないようにした。

 

ノアの方舟
アダムとエヴァは楽園を追放された後、地上で子孫を増やしたが悪人ばかりとなっていた。人類を創造したことを後悔した神は、神に従う善良なノアに方舟を造るよう命じ、洪水を起こしてノアとその家族以外の人間を洗い流した
洪水の後、方舟はアララト山という山に流れ着いた。

 

○ノアのその後
洪水の後、ノアは3人の息子たちとともに再び地上で暮らした。あるとき、ノアは酔いつぶれて(=聖書的には罪の象徴)で寝ていた。末の息子のハムはそれを見て兄のセムヤペテにその様を伝えた。二人の兄はノアに着物を着せたが、怒ったノアはハムに呪いをかけた。

 

アブラハムの旅
ノアの息子の一人、セムの子孫であるアブラハムはあるとき神からカナンの地(今でいうパレスチナの辺り)へ行くよう命じられる。
カナンの地を訪れたアブラハムは飢饉で移住を余儀なくされたこともあったが、最終的に神からカナンの地を与えられてそこに定住した。

 

アブラハムについての補足
聖書ではアブラハムを重要な人物の一人と見ています。聖書的にはノアをアダムとエヴァに次ぐ第二の人類の始祖と見ているのですが、そのノア以後初めて神から啓示を受けた人物がアブラハムです。
神から啓示を受けた人物を預言者と言います。預言者の中でもアブラハムは信仰の父と言われ、聖書的に特に重要な人物の一人です。

 


(ここまでが旧約聖書の内容。これ以降が新約聖書の内容。)

 


イエス・キリストの誕生
聖母マリアは受胎告知を受け、神の子、イエス・キリストを産んだ。その後、成長したイエス・キリストは洗礼を受け、伝道活動を開始した。

 

イエス・キリストの伝道の旅
イエス・キリストは各地で伝道をする中で「隣人愛」を説き、多くの信者を得た。
しかし、そのためイエス・キリストユダヤ教の司祭らから恨まれるようになった。

 

イエス・キリストの処刑
イエス・キリストはあるときエルサレムに入城した。群衆は彼を歓迎したがユダヤ教の司祭はイエス・キリストを憎悪した。

弟子の一人、ユダはイエス・キリストユダヤ教の司祭に売り渡しイエス・キリストは捕まった。イエス・キリストは十字架にかけられ処刑された。

処刑の際には日蝕が起き、太陽が光を失った。処刑から3日後、イエス・キリストは復活し弟子に伝道の使命を与えた。その後、天へと昇った。

 


他にも聖書の内容はまだまだあるんですが、とりあえずは割愛します。

 

 

ゼノブレイド3と聖書の関連性の解説

上の聖書の内容を読むとゼノブレイド3にも当てはまる内容があるのがわかると思います。
1つずつ解説していきます。

 

1.「アダムとエヴァの誕生」~「楽園追放」
個人的に重要な点は
・アダムとエヴァは知恵の木の実を食べて裸でいるのが恥ずかしくなったこと。
・怒った神が楽園から追放し、永遠に生きられないようにしたこと。
の2つです。

この辺りは3本編の序盤の展開そのままですね。

ウロボロスストーンの力を得たノア達6人が互いの陣営から追われる身になるというところです。ユーニのお風呂シーンとか、ノア達男組が女子の前で着替えるのが恥ずかしいとモジモジしてたのもここから着想されたシーンだと思います。

物語的にはウロボロスストーンという知恵の実を食べたノア達は性欲を知った、というわけです。性欲というとアレなので「他者を愛する気持ち」を知った、ぐらいに言い換えておきましょう。

 

余談ですが後述の内容にもつながるのでついでの補足。
ゼノブレイド3は"永遠の今"という大きな輪廻の物語なのでウロボロスとなった者はおそらくああいったくだりを繰り返していたのでしょう。
マシューの曽祖父、曾祖母のノアとミオもああいった思春期らしいやり取りがあったのかもしれません。

 


2.「ノアの方舟」~「アブラハムの旅」
この辺りはDLC、新たなる未来で描かれた出来事とおおよそ合致するかと思います。


ノアの方舟」についてはグノーシス的な解釈をするなら「神が自分の意に沿った都合のいい者だけを残して、人間を根絶やしにする」という話になるかと思います。
アルファがナエルやシティーの人間を「クラウスの世界」に連れて行こうとした事件がまさにそれですね。また、シティーの人間を疎ましく考えていたゼットとそれに付き従いシティーを襲撃したエヌもまた「ノアの方舟」をなぞらえていたのでしょう。

新たなる未来は言うなれば「クラウスの世界」と「アイオニオン」、方舟は2つ存在していたという内容なのだと思います。

ゴンドウが変わってしまった父の姿を見て絶句するのも「ノアのその後」を踏まえた話だったのではないかと思います。

また、余談ですが3DLCで最後に訪れる黒い山は「ノアの方舟」の内容に当てはめるなら方舟が流れ着いたアララト山がモチーフなんじゃないかと思います。

 

 

そしてそれらの事件を経てマシューがシティーを再建したという話はアブラハムがカナンの地に定住した史実に基づいているかと思います。
アブラハムユダヤ教やそこから派生したキリスト教イスラム教などに多大な影響を与えた人物です。マシューもまたアイオニオンの後の歴史やシティーに大きな影響を残したのでそう言えるのではないかと思います。

 


3.「イエス・キリストの誕生」~「イエス・キリストの処刑」
イエス・キリストの生涯はノア達本編主人公6人にかなり合致してくるかと思います。

 

なにより一番注目したいのが処刑の際の話です。
仲間に裏切られて敵に捕まる。処刑の時に「日蝕」が起きる。
…これ、明らかにミオの処刑の話のモチーフですよね。僕自身この話を初めて知った時びっくりしました。ミオが死んだと思わせてエムと入れ替わって生きていた、という展開もキリストの復活になぞらえられたものじゃないかと思います。

(ちなみにイエス・キリストを裏切ったユダは一説ではその後自殺しています。ノア達を裏切ったシャナイアも同じように自殺しましたよね。)

 

だとするのならミオを含めて本編主人公であるノア達6人のモチーフはイエス・キリストで、シティーへ向かう旅の道中で各コロニーの火時計を破壊し、ケヴェスとアグヌスの兵たちを戦いの運命から開放していったのもキリストの伝道になぞらえられたものではないだろうか。
というのが僕の考えです。

 

ゼノブレイド3と聖書の相関のまとめ

さて、上の章でゼノブレイド3と聖書の関連性を解説したわけですがゼノブレイド3の主要な人物は聖書に出てくる人物に当てはめることができるのではないかと考えています。
個人的に考えている聖書とゼノブレイド3の登場人物の相関をまとめると以下のようになっています。


○マシューの曽祖父、曽祖母のノアとミオ
→聖書になぞらえるなら第一の人類の始祖、アダムとエヴァ
ウロボロスパワーという知恵の実を食べて欲望を知った人。物語的に言うなら「他者を愛する気持ち」を知った一番最初の人。

 

○エヌ
→聖書になぞらえるなら第二の人類の始祖、「ノアの方舟」のノア。
ゼットという神の言葉に従ってアイオニオン(あるいは"永遠の今")という方舟に乗ることを選んだ人。愛する妻を失うことを恐れ、子殺しすら為してしまい方舟から降りられなくなった。

 

○マシューの祖父のゴンドウ
→聖書になぞらえるなら第二の人類の始祖ノアの息子の一人でありアブラハムの先祖のセム
アイオニオンに芽生えた新たな命、その最初期の人。父の犯した罪を目の当たりにしながらも、かつての父の想いも含めた自身の想いをマシューに託した。

 

○マシュー(あるいは六氏族)
→聖書になぞらえるならアブラハム
巨神界、アルスト、アイオニオンの3つ全ての世界の人々の想いを受け継いだ最初の人。エイ、ゴンドウ、シュルク、レックスから想いを託されシティーを再興した。
少し聖書に寄せた言い方をするならエイ、シュルク、レックスという神からシティーを再興するよう託された人、といったところか。

 

○3本編のノア(あるいは本編主人公の6人全員)
→聖書になぞらえるならイエス・キリスト
3つの世界の祖先の想いを受け継ぎ旅した人たち。命の火時計を破壊してケヴェスとアグヌスの兵士たちにもう戦わなくていい、人を愛していいと「隣人愛」を説いて旅をした人たち。

 


余談ですが聖書では神から啓示を受けた人物を「預言者」と言います。
上の章で説明したようにノアやアブラハム、それからキリストは「預言者」に当たります。他にも「モーセの海割り」で有名なモーセなど何人かが該当します。
本編に至るまでにアイオニオンの節目節目の時代に現れたノアとミオ、ウロボロスたちはこの「預言者」になぞらえられた存在ではないだろうか、というのが僕の考えです。

それと「神から啓示を受ける」というのはゼノブレイドの物語的には「ウロボロスの力を得ること」あるいは「想いを託される」ことになぞらえているのかもしれません。

 

 


また、これらを踏まえるとアイオニオンの歴史の中で起きた事件はおおよそ聖書に記された史実と一致していると思われます。

 

天地創造
→アイオニオンの創造。


「アダムとエヴァの誕生」
→マシューの曽祖父、曾祖母のノアとミオがウロボロスとなったこと。後にゴンドウを産み、アイオニオンという世界における人類の始祖となった。


ノアの方舟」および「ノアのその後」
→ゼットの言葉に従ったエヌによるシティー襲撃事件、およびアルファによる「クラウスの世界」再創造未遂事件。


アブラハムの旅」
→マシューら六氏族によるシティーの再建。


イエス・キリストの誕生」~「イエス・キリストの処刑
→本編主人公のノア達6人の旅。

 


といった具合になります。

 


僕自身、聖書の内容に特段明るいわけではないので強くは言えないですがゼノブレイドが大なり小なり聖書を引用しているのは間違いないかと思います。

僕が気づいてないだけで他にも聖書から引用している部分もあるかもしれません。

 

ちなみに過去作もある程度聖書を引用していると思います。

特にゼノブレイド2のエンディングはホムラとヒカリの行動がキリストの処刑と復活になぞらえられていると考えたら受け取り方がかなり変わって見えるなと個人的には思っています。
詳しくはなにか別の機会があったときに…

 


以上がゼノブレイド3の聖書的解釈でした。

 

 

 

 

 

 

 

各章へのリンク

はじめに

1.物語の解釈
2.聖書的解釈(この記事)
3.世界観設定の考察

 

 

 

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